カラアゲの喫茶店から出て百夜は用事があると姿を消した。
1人伯父の店へ歩む。
「(叔父さん達以外にも百夜さんとカラアゲさんに答えて貰えてよかったな。)」
「なごなご…。」
「(あとは…誰か答えてくれそうな人いたかなあ。)」
「うにゃうにゃ。」
「…。」
「ちょっと流華ちゃん、考え事しながら歩くのは危ないと思うなぁ。」
「!?」
突然の声に立ち止まり見回す。
「…?」
「僕はここだよ。足元だよ。」
「…あ、しろーまるじいちゃん。ごめん、気付かなかった。」
足元にいるふかふかの白猫を確認して腰を屈め撫でる。
ゴロゴロと喉を鳴らしながらうっとりと撫でられながら白猫は尋ねた。
「何か僕にお手伝いできる悩み事かな?」
「ん~…、とりあえず道端じゃあれだし公園行こう。」
ひょいとしろーまると呼ばれた白猫を抱き上げて公園へと向かう。
公園のベンチに腰掛け、膝の上にしろーまるを置いて撫でる。
「じーちゃんは結婚したことある?流華の夏休みの自由研究のテーマなんだけど。」
「僕?僕は…猫だし結婚という概念はわからないけれど、腹違いの子供は沢山いたよ。」
撫でられながらご機嫌な声色で答える。
「じーちゃん子供いるんだ。見たことないな。」
「うん、みんな天国に行っちゃったからね。子供たちは僕みたいに猫又にはなれなかったんだ。僕の血を引いた子は探せばいるかもしれないけど把握してないなあ。」
「…そっか。ごめん…。」
「いいよお~。流華ちゃんみたいな孫のような子たちがいるから寂しくはないからねぇ。」
「…そっか。」
静かにただしろーまるを撫でる。
暫く撫でた頃、しろーまるは流華の膝から降りた。
「それじゃあ僕は行くね。楓ちゃんが来たら夜には戻ると伝えてちょうだい。じゃまたね~。」
「ん?うん、わかった。またね。」
しろーまるの姿が見えなくなると、どこからかしろーまるを呼ぶ声がする。
「しろーまる!…あ、流華ちゃん、しろーまる見なかった?」
「楓さん。じーちゃんはさっきまで居たんですけど、夜には戻るって言ってましたよ。」
「ああ…一歩遅かったか…。伝言ありがとう。」
「じーちゃん、また尊兄(みこにい)と喧嘩ですか?」
「そうなの。膝枕争いでしろーまるが負けて拗ねちゃって…。」
「膝枕争い…(いいなあ)。」
「よし、もうちょっと探してみる。それじゃあね。」
「はい、頑張ってください。」
流華は叔父の1人である尊の嫁・楓を見送り、夕飯の献立を考えながら帰宅した。